地方の製造業へ
海外に出たい。
社内に、やったことのある人がいない。
その状態から始めて、70カ国以上に輸出するようになった会社があります。私はその会社の社員として、規格認証の取得から現地法人の設立・運営までを担当していました。コンサルタントとしてではなく、実務の担当者として。
なぜ、外から借りるのか
「まず試す」段階に、採用はいちばん重い選択肢です。
海外展開に必要な経験は、一つの職種に収まりません。規格認証、展示会、輸出実務、代理店開拓、現地法人の設立、現地採用と育成、そして拠点の運営。できる人はいます。ただ、地方の会社がその人に出会い、迎え入れ、実際に動き出すまでには、相応の時間がかかります。
そして多くの場合、御社はまだ「やると決めた」のではなく、「やれるかどうかを知りたい」段階にいます。その答えが出る前に、固定費だけが先に増えていきます。
決めてから、採る。
決めるために、まず借りる。
実際に手を動かしたこと
提案書ではなく、実務の記録です。
拠点をつくるときの、最初の分かれ道
現地法人の責任者は、日本人でなければいけませんか。
海外に拠点をつくると決めたとき、多くの会社が「誰を送るか」から考え始めます。言葉の問題があるから。任せきりにはできないから。日本のやり方が伝わらないから。
ただ、駐在員を一人置く費用は、現地で採用する場合の何倍にもなります。給与だけではありません。住居、子女の教育、税務の調整、一時帰国。そして本人と家族の数年間が、その一つの判断に乗ります。着任して、生活が落ち着いて、市場が分かってくる頃には、一年が過ぎています。
私は、欧州でも北米でも東南アジアでも、拠点を任せる相手に現地の人を採用しました。募集し、選び、業務を教え、任せました。
オランダの拠点は、私が担当していた当時、自走していました。日本から人を送らず、現地の責任者が運営し、黒字を続けていました。私が離れたあとのことは分かりません。ただ、日本人を置かずに回る状態までは、確かにつくれました。
北米では、期待した成果がすぐには出ませんでした。正直に書きます。ただ、そのときに取った手段は「日本人の責任者を置く」ことではありません。私自身が数か月現地に入り、軌道に乗るまで一緒に動きました。
送り込むのではなく、立ち上げて、任せて、必要なときだけ入る。
その方が、多くの場合は速くて、安くて、続きます。
この仕事で、いちばん役に立つもの
うまくいった話だけは、しません。
成功事例だけを並べた資料は、経営者には見抜かれます。実際には、22年のあいだにひと通りの失敗をしました。知らなかったこと、気づけなかった落とし穴、判断を誤って時間とお金を失ったこと。
それが、いま御社にとっていちばん価値のある部分だと思っています。同じ道を、もう一度通っていただく必要はありません。
オランダでは、最初の採用がうまくいきませんでした。何人かには、数か月で離れてもらうことになりました。能力の問題というより、現場で必要とされるものと、その人が持っているものが、単純に合っていなかったのだと思います。欧州の顧客に向き合い、拠点を任せる仕事に、どういう資質が要るのか——そこが分かっていなかったからです。
何度かやり直して、ようやく輪郭が見えました。いま振り返れば、その回り道は自分には必要だったのだと思います。ただ、同じ回り道を御社がする必要はありません。何を見て選ぶか、最初の数か月で何を確かめるか、合わないと分かったときにどう切り替えるか。そこを決めてから募集を始められます。
欧州へ出荷した機械が、CEマーキングがないという理由で通関を通りませんでした。積み戻し、保管料、再輸入。損失も痛手でしたが、こたえたのはそこではありません。相手の工場では、据え付けを待つ技術者が、空いたままのスペースの前に立っていました。
ただ、本当の穴は認証そのものではありませんでした。穴が開いたとき、そこへ降りていける人間が社内に一人しかいなかったことです。次の落とし穴は、同じ形では現れません。それでも必ず、同じ薄い場所を突いてきます。仕向地ごとにどの規格が要るのか、欧州仕様では使えない部品はどれか、誰と組めば最短で通るのか——出す前に決められます。
初めて英語サイトをつくるとき、私の計画は単純でした。日本語サイトをそのまま英訳する。それだけです。ところが読み直してみると、製品、仕様、設備、沿革——書いてあるのは自分たちの話ばかりで、それでお客様の何が変わるのかは一行もありませんでした。自社の話しかしていないサイトが、十年そのままになっていたわけです。
訳したところで、同じものが英語で並ぶだけです。英語サイトは日本語サイトとは別物として、一から組み直しました。各部署に「仕事で誇らしかった出来事を一つ、具体的に書いてほしい」と頼み、集まった話を並べて、ようやく自分たちの価値が言葉になりました。海外向けの資料やサイトに手をつける前に、その作業を先に済ませられます。
進め方
まず一つの案件から。続けるかは、その後で。
目的と期限のはっきりした案件を、一つお預かりします。
- 進出先の市場調査と、着手順序の設計(「まず試す」段階)
- 米国(または他国)現地法人の設立
- CEマーキング・NSF・UL などの認証取得
- 海外展示会の企画から現場運営まで
- 特定市場での代理店の探索・選定・契約
- 既存代理店の立て直し、または入れ替え
案件が形になったあと、必要であれば長期の契約に切り替えます。月1〜2回の定例と、随時のご相談。海外事業全体の統括と、社内で担う人材の育成まで。
最終的な目標は、私がいなくても回る状態をつくることです。現地法人を設立し、現地で人を採用し、教育し、引き継いで手を離す——それを三つの地域で実際にやってきました。
この仕事の定義について
私は、コンサルタントではないかもしれません。
正直に書きます。コンサルタントという仕事が何をするものなのか、私にはよく分かっていません。分析をまとめ、提案書を渡し、そこで終わる仕事なのだとしたら、私がやってきたこととは違います。
以前、『ザ・ゴール』のゴールドラット博士と直接、仕事をする機会がありました。博士がまだ存命で、自ら教えていた頃です。話を聞くために、イスラエルの事務所まで足を運びました。必要があれば、どこへでも行く——そこは、いまも変わっていません。
そのとき、ゴールドラット・コンサルティングは、自分たちの仕事をこう定義していました。
クライアントが自分でできるようにすること。
成果を出すこと。そして、できるだけ早く去ること。
その定義なら、私にも分かります。私がやってきたのも、それに近いことでした。海外の拠点をつくり、現地の人を採用し、教え、任せて、手を離す。その繰り返しです。
ですから、やったことは記録として残します。手順、そう判断した理由、うまくいかなかったこと、次に同じ場面が来たときに何を見るか。文書でも、音声でも、御社が使いやすい形で構いません。ご希望があれば、社内の担当者に直接お教えします。私がやって見せ、次は一緒にやり、最後は任せる。
残すのは成果だけでなく、次に同じことをやれる人と、その手順です。
御社が私を必要としなくなったとき、この仕事は終わりです。
採用と、依頼の違い
「まず試してみる」のに、一年をかける必要はありません。
市場を試すために人を採用する場合、求人を出し、選考し、入社を待ち、自社の製品と商流を覚えてもらい、そこからようやく市場を調べ始めることになります。動き出すまでに半年から一年。その間の人件費は、まだ何も分からないうちに出ていきます。
そして合わなかったとき、それは雇用の問題として残ります。
ご契約の条件が決まれば、すぐに動けます。御社の製品と商流を学び、どの市場に、どういう順番で、何から着手すべきかをお伝えします。現地で採用する人材の選定にも、代理店の選定にも入ります。
「まず試す」という段階に、いちばん向いた使い方だと思っています。
対象
こういう会社のための仕事です。
- 本社が地方にあり、海外にも収益の柱をつくりたい製造業
- すでに海外売上はあるが、特定の1社・1地域に依存している
- 展示会には出たことがあるが、その後が続かなかった
- 社内に海外実務の経験者がいない、または退職してしまった
- 拠点をつくるべきか、駐在員を送るべきか、判断がついていない
なぜ、この仕事をしているか
地方から、外貨を稼ぐ会社を増やしたい。
円だけで商売をしている限り、為替も、国内市場の縮小も、人口の減少も、すべてそのまま効いてきます。外貨で稼ぐ柱が一本あるだけで、会社の立ち方は変わります。同じ製品が、外の市場では違う値段で評価されることもあります。
日本は戦後、良いものをつくり、それを世界と交換することで立ち上がった国でした。一時は「世界一」とまで言われ、そこから長い停滞が続いています。
もう一度、世界一になる必要はないと思います。ただ、優れたものをつくって世界と取引する強い国には、戻れるはずです。そしてその力は、いま東京や大阪よりも、地方の工場に残っているように思います。知られていないだけで、価値がないわけではありません。
地方の会社が海外に収益の柱を持てるようになれば、その地域の雇用と技術は続いていきます。私がこの仕事を続けているのは、そのためです。一社ずつしかできませんが、一社ずつなら、できます。
最初の一歩
まず30分、現状をお聞かせください。
オンラインでの無料相談です。海外進出をお勧めすることを前提にしていません。話を伺った結果、「いまはやめたほうがいい」という結論になることもあります。それも含めてお伝えします。
拠点:香川県丸亀市(瀬戸内)/ 対応:オンライン全国対応、必要に応じて訪問・展示会同行・海外出張
ご相談はオンライン(Zoom / Google Meet)です。フォームにご希望の日時をお書き添えいただければ、折り返し会議リンクをお送りします。お電話をご希望の場合は番号をお書き添えください。こちらからおかけします。
三井 暁 — Hinomoto Bridge Partners
地方の製造業で22年間、海外事業の実務に従事。70カ国以上への輸出、欧州・北米・東南アジアでの拠点設立を担当。